PERT図とは?書き方とクリティカルパスの求め方を例題で図解

公開: 2026年7月(2026年9月更新) カテゴリ: マネジメント

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「このプロジェクト、最短で何日で終わる?」「どの作業が遅れるとヤバい?」——それに答えるのがPERT図(アローダイアグラム)とクリティカルパスです。この記事では、PERT図の書き方(ダミー作業のルール)から、クリティカルパスの求め方を例題で3ステップ、最短完了日数・余裕日数までを図解します。

🛠️ 自分の作業で計算するなら:PERT図・クリティカルパス計算ツール に作業名・所要日数・先行作業を入れると、クリティカルパス・最短完了日数・各作業の余裕を自動計算し、PERT図で図示します。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネジメントは、決められた期間・予算・品質でプロジェクトを完了させるための管理です。管理の要素は、よくQCD(Quality=品質・Cost=コスト・Delivery=納期)で語られます。中でも「納期(スケジュール)」を分析する代表的な道具が、これから見るPERT図です。

PERT図(アローダイアグラム)とは

PERT図は、作業を矢印(→)、作業の区切りを丸(結合点・ノード)で表し、作業の前後関係と所要日数を図にしたものです。「Bを始めるにはAが終わっていないといけない」といった依存関係が一目で分かります。次の例で考えます。

作業所要日数先に終わっている必要がある作業
A3日なし(最初)
B5日A
C2日A
D4日B・C(両方)
PERT図:丸=結合点、矢印=作業、点線=ダミー作業 A(3日) B(5日) C(2日) ダミー(0日) D(4日) ① ② ③ ④ ⑤ 赤い経路 A→B→D(①→②→④→⑤)が最長=クリティカルパス(12日)
図1: Dは結合点④から始まるので、Bの完了(④への矢印)と、Cの完了(ダミー作業で④へつなぐ)の両方を待つ

ポイントはC→④の点線(ダミー作業)です。Dは「BとCの両方」が終わらないと始められません。しかし、BとCをどちらも②→④の矢印にすると、同じ2つの結合点の間に作業が2本並んでしまい、図の上で区別がつかなくなります。そこでCはいったん③で終わらせ、所要日数0のダミー作業で③から④へ「Cが終わったこと」を伝えます。書き方のルールは次の節で整理します。

PERT図の書き方 — ルールと手順

PERT図(アローダイアグラム)は、作業一覧表から次の手順で書きます。

  1. 作業一覧表を作る:作業名・所要日数・先行作業(先に終わっている必要がある作業)を表にする
  2. 先行作業のない作業から描く:開始の結合点①から矢印を出す
  3. 先行作業がすべて終わる結合点から、次の作業の矢印を出す:複数の作業が合流するなら、それらの矢印を同じ結合点に集める
  4. 必要ならダミー作業を入れる:依存関係だけを表したいときや、同じ結合点どうしの間に作業が2本並ぶときに、点線(所要0)でつなぐ
  5. 結合点に番号を振る:矢印の出る側より入る側の番号が大きくなるよう、左から順に振る
ルール理由
作業は矢印、区切りは丸(結合点)矢印の長さは日数と無関係。日数は矢印の横に書く
同じ2つの結合点の間に作業を2本引かない「②→④の作業」がどれか区別できなくなるため。ダミー作業で分ける
開始と終了の結合点はそれぞれ1つ全体の開始日・完了日を1つに決めるため
矢印をループ(循環)させない「AはBの後、BはAの後」のような関係は実行できないため

最短完了日数とクリティカルパス

全体の最短完了日数は、開始から終了までの経路の中で、所要日数の合計が最も長い経路で決まります。なぜなら、Dを始めるにはB・Cの両方が終わっている必要があり、遅い方(=長い経路)を待つしかないからです。経路をすべて足してみます。

経路合計日数
A → B → D3 + 5 + 4 = 12日
A → C →(ダミー)→ D3 + 2 + 0 + 4 = 9日

最長はA→B→D の12日。これが最短完了日数であり、この最長経路がクリティカルパスです。クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、全体が1日遅れます。だからここを重点的に管理します。

最早・最遅結合点時刻と余裕(フロート)

各結合点について、2つの時刻を求めます。

時刻意味求め方
最早結合点時刻そこに最も早く到達できる日開始から前向きにたどり、複数流入は大きい方を採用
最遅結合点時刻全体を遅らせずに出発してよい最も遅い日終了から後ろ向きにたどり、複数流出は小さい方を採用

この2つの差が「余裕(フロート/スラック)」です。余裕がゼロの作業をつないだ経路がクリティカルパスで、遅れが許されません。上の例ではC作業に余裕があります(A→C→Dは9日で、12日まで3日の余裕)。つまりCは3日遅れても全体に影響しない、と読み取れます。

クリティカルパスの求め方 — 例題で3ステップ

作業が少なければ「経路を全部足して最長を探す」で求まりますが、作業が増えると経路の数が一気に増えます。試験でも実務でも使えるのが、①前向きに最早時刻 → ②後ろ向きに最遅時刻 → ③作業ごとの余裕の3ステップです。次の例題で順にたどります。

作業所要日数先行作業矢印
A3日なし①→②
B2日なし①→③
C4日A②→③
D6日A②→④
E3日B・C③→④
F2日D・E④→⑤
例題のPERT図(結合点の上の数字=最早 / 最遅) A(3) B(2) C(4) D(6) E(3) F(2) ① ② ③ ④ ⑤ 0 / 0 3 / 3 7 / 7 10 / 10 12 / 12 赤=クリティカルパス A→C→E→F(12日)
図2: 例題のPERT図。緑の数字は「最早結合点時刻 / 最遅結合点時刻」

ステップ1:最早結合点時刻を前から求める

開始①を0日とし、矢印の向きに「前の結合点の最早時刻+作業日数」を足していきます。矢印が複数入る結合点は、大きい方を採用します(全部終わるのを待つため)。

結合点計算最早結合点時刻
①開始0
②0+3(A)3
③max(0+2(B), 3+4(C)) = max(2, 7)7
④max(3+6(D), 7+3(E)) = max(9, 10)10
⑤10+2(F)12(=最短完了日数)

ステップ2:最遅結合点時刻を後ろから求める

終了⑤の最遅時刻を最短完了日数(12)と同じにし、矢印を逆向きに「後ろの結合点の最遅時刻−作業日数」を引いていきます。矢印が複数出る結合点は、小さい方を採用します(どの作業も間に合わせるため)。

結合点計算最遅結合点時刻
⑤終了(=12)12
④12−2(F)10
③10−3(E)7
②min(7−4(C), 10−6(D)) = min(3, 4)3
①min(3−3(A), 7−2(B)) = min(0, 5)0

ステップ3:作業ごとの余裕を求め、0の作業をつなぐ

作業の余裕(トータルフロート)は、矢印の終点の最遅時刻 − 始点の最早時刻 − 所要日数で求めます。

作業計算余裕
A3 − 0 − 30
B7 − 0 − 25日
C7 − 3 − 40
D10 − 3 − 61日
E10 − 7 − 30
F12 − 10 − 20

余裕0の作業をつなぐと A→C→E→F。これがクリティカルパスで、最短完了日数は12日です。経路を全部足した結果(A→C→E→F=12日、A→D→F=11日、B→E→F=7日)とも一致します。

注意したいのは、この例ではすべての結合点で最早=最遅になっている点です。それでもDとBには余裕があり、クリティカルパスではありません。結合点の時刻だけで判断せず、作業ごとの余裕で確かめるのが確実です。

🛠️ この例題をツールで確かめる:PERT図・クリティカルパス計算ツール に、作業A〜Fの所要日数と先行作業(C・DはA、EはB,C、FはD,E)を入れると、同じ結果(A→C→E→F・12日)になることを確認できます。自分のプロジェクトの作業でもそのまま計算できます。

ガントチャートとの違い

スケジュール管理のもう一つの定番がガントチャートです。使いどころが違います。

PERT図ガントチャート
得意作業の前後関係とクリティカルパスの把握各作業の期間・進捗を一目で
見た目矢印と結合点のネットワーク横棒(バー)を時間軸に並べる
用途計画・ボトルネック分析進捗管理・状況共有

「依存関係を分析するならPERT、進み具合を見るならガントチャート」と覚えましょう。実務では両方を併用します。

基本情報技術者試験ではこう出る

「アローダイアグラムから最短完了日数を求める」「クリティカルパスを特定する」「ある作業に何日の余裕があるか」「最早・最遅結合点時刻を求める」がよく問われます。押さえるべきは、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)、複数の作業が合流する結合点は、遅い方の完了を待つという2点。余裕=最遅−最早、も頻出です。選択肢を作業ごとに検算するより、3ステップで結合点の時刻を表にしてしまうほうが、ミスが少なく速く解けます。プロジェクトマネジメント分野の日程管理の定番テーマとして押さえておきましょう。

よくある質問

Q. クリティカルパスの求め方は?
A. ①前向きに最早結合点時刻(合流は大きい方)、②後ろ向きに最遅結合点時刻(分岐は小さい方)、③作業ごとの余裕=終点の最遅−始点の最早−所要日数、の順に求め、余裕0の作業をつなぎます。手順は上の例題で解説しています。

Q. ダミー作業とは?
A. 実際には作業しないが、依存関係だけを表すために引く点線の矢印(所要日数0)です。「作業の前後関係はあるが、実作業は伴わない」ことを図で正しく表現するために使います。アローダイアグラム特有の表現で、試験でも出てきます。図1の③→④がその例です。

Q. 最早結合点時刻と最遅結合点時刻が同じなら、その前後の作業は必ずクリティカル?
A. そうとは限りません。例題ではすべての結合点で最早=最遅ですが、作業Dには1日、作業Bには5日の余裕があります。クリティカルかどうかは、作業ごとの余裕が0かどうかで判断します。

Q. クリティカルパスは1本だけ?
A. 複数あることもあります。最長の経路が同じ日数で並んだ場合、それらすべてがクリティカルパスです。その場合、どの経路の作業も遅れが許されません。

Q. 全体を短縮したいときは、どこを縮める?
A. クリティカルパス上の作業を短縮します。余裕のある作業をいくら縮めても全体は変わりません。ただしクリティカルパスを縮めると、別の経路が新たにクリティカルパスになることがあるので、再計算が必要です。

まとめ

PERT図は作業の依存関係を表し、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)で全体の日程が決まります。クリティカルパス上は遅れ厳禁、余裕のある作業は多少遅れてもOK。依存関係の分析はPERT、進捗管理はガントチャートと使い分けます。最短完了日数・クリティカルパス・余裕の3つを求められるようにしておきましょう。求め方は「前向きに最早 → 後ろ向きに最遅 → 作業ごとの余裕」の3ステップ、書くときは「同じ結合点どうしに作業を2本引かず、必要ならダミー作業」がコツです。

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