PERT図とは?書き方とクリティカルパスの求め方を例題で図解
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「このプロジェクト、最短で何日で終わる?」「どの作業が遅れるとヤバい?」——それに答えるのがPERT図(アローダイアグラム)とクリティカルパスです。この記事では、PERT図の書き方(ダミー作業のルール)から、クリティカルパスの求め方を例題で3ステップ、最短完了日数・余裕日数までを図解します。
🛠️ 自分の作業で計算するなら:PERT図・クリティカルパス計算ツール に作業名・所要日数・先行作業を入れると、クリティカルパス・最短完了日数・各作業の余裕を自動計算し、PERT図で図示します。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントは、決められた期間・予算・品質でプロジェクトを完了させるための管理です。管理の要素は、よくQCD(Quality=品質・Cost=コスト・Delivery=納期)で語られます。中でも「納期(スケジュール)」を分析する代表的な道具が、これから見るPERT図です。
PERT図(アローダイアグラム)とは
PERT図は、作業を矢印(→)、作業の区切りを丸(結合点・ノード)で表し、作業の前後関係と所要日数を図にしたものです。「Bを始めるにはAが終わっていないといけない」といった依存関係が一目で分かります。次の例で考えます。
| 作業 | 所要日数 | 先に終わっている必要がある作業 |
|---|---|---|
| A | 3日 | なし(最初) |
| B | 5日 | A |
| C | 2日 | A |
| D | 4日 | B・C(両方) |
ポイントはC→④の点線(ダミー作業)です。Dは「BとCの両方」が終わらないと始められません。しかし、BとCをどちらも②→④の矢印にすると、同じ2つの結合点の間に作業が2本並んでしまい、図の上で区別がつかなくなります。そこでCはいったん③で終わらせ、所要日数0のダミー作業で③から④へ「Cが終わったこと」を伝えます。書き方のルールは次の節で整理します。
PERT図の書き方 — ルールと手順
PERT図(アローダイアグラム)は、作業一覧表から次の手順で書きます。
- 作業一覧表を作る:作業名・所要日数・先行作業(先に終わっている必要がある作業)を表にする
- 先行作業のない作業から描く:開始の結合点①から矢印を出す
- 先行作業がすべて終わる結合点から、次の作業の矢印を出す:複数の作業が合流するなら、それらの矢印を同じ結合点に集める
- 必要ならダミー作業を入れる:依存関係だけを表したいときや、同じ結合点どうしの間に作業が2本並ぶときに、点線(所要0)でつなぐ
- 結合点に番号を振る:矢印の出る側より入る側の番号が大きくなるよう、左から順に振る
| ルール | 理由 |
|---|---|
| 作業は矢印、区切りは丸(結合点) | 矢印の長さは日数と無関係。日数は矢印の横に書く |
| 同じ2つの結合点の間に作業を2本引かない | 「②→④の作業」がどれか区別できなくなるため。ダミー作業で分ける |
| 開始と終了の結合点はそれぞれ1つ | 全体の開始日・完了日を1つに決めるため |
| 矢印をループ(循環)させない | 「AはBの後、BはAの後」のような関係は実行できないため |
最短完了日数とクリティカルパス
全体の最短完了日数は、開始から終了までの経路の中で、所要日数の合計が最も長い経路で決まります。なぜなら、Dを始めるにはB・Cの両方が終わっている必要があり、遅い方(=長い経路)を待つしかないからです。経路をすべて足してみます。
| 経路 | 合計日数 |
|---|---|
| A → B → D | 3 + 5 + 4 = 12日 |
| A → C →(ダミー)→ D | 3 + 2 + 0 + 4 = 9日 |
最長はA→B→D の12日。これが最短完了日数であり、この最長経路がクリティカルパスです。クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、全体が1日遅れます。だからここを重点的に管理します。
最早・最遅結合点時刻と余裕(フロート)
各結合点について、2つの時刻を求めます。
| 時刻 | 意味 | 求め方 |
|---|---|---|
| 最早結合点時刻 | そこに最も早く到達できる日 | 開始から前向きにたどり、複数流入は大きい方を採用 |
| 最遅結合点時刻 | 全体を遅らせずに出発してよい最も遅い日 | 終了から後ろ向きにたどり、複数流出は小さい方を採用 |
この2つの差が「余裕(フロート/スラック)」です。余裕がゼロの作業をつないだ経路がクリティカルパスで、遅れが許されません。上の例ではC作業に余裕があります(A→C→Dは9日で、12日まで3日の余裕)。つまりCは3日遅れても全体に影響しない、と読み取れます。
クリティカルパスの求め方 — 例題で3ステップ
作業が少なければ「経路を全部足して最長を探す」で求まりますが、作業が増えると経路の数が一気に増えます。試験でも実務でも使えるのが、①前向きに最早時刻 → ②後ろ向きに最遅時刻 → ③作業ごとの余裕の3ステップです。次の例題で順にたどります。
| 作業 | 所要日数 | 先行作業 | 矢印 |
|---|---|---|---|
| A | 3日 | なし | ①→② |
| B | 2日 | なし | ①→③ |
| C | 4日 | A | ②→③ |
| D | 6日 | A | ②→④ |
| E | 3日 | B・C | ③→④ |
| F | 2日 | D・E | ④→⑤ |
ステップ1:最早結合点時刻を前から求める
開始①を0日とし、矢印の向きに「前の結合点の最早時刻+作業日数」を足していきます。矢印が複数入る結合点は、大きい方を採用します(全部終わるのを待つため)。
| 結合点 | 計算 | 最早結合点時刻 |
|---|---|---|
| ① | 開始 | 0 |
| ② | 0+3(A) | 3 |
| ③ | max(0+2(B), 3+4(C)) = max(2, 7) | 7 |
| ④ | max(3+6(D), 7+3(E)) = max(9, 10) | 10 |
| ⑤ | 10+2(F) | 12(=最短完了日数) |
ステップ2:最遅結合点時刻を後ろから求める
終了⑤の最遅時刻を最短完了日数(12)と同じにし、矢印を逆向きに「後ろの結合点の最遅時刻−作業日数」を引いていきます。矢印が複数出る結合点は、小さい方を採用します(どの作業も間に合わせるため)。
| 結合点 | 計算 | 最遅結合点時刻 |
|---|---|---|
| ⑤ | 終了(=12) | 12 |
| ④ | 12−2(F) | 10 |
| ③ | 10−3(E) | 7 |
| ② | min(7−4(C), 10−6(D)) = min(3, 4) | 3 |
| ① | min(3−3(A), 7−2(B)) = min(0, 5) | 0 |
ステップ3:作業ごとの余裕を求め、0の作業をつなぐ
作業の余裕(トータルフロート)は、矢印の終点の最遅時刻 − 始点の最早時刻 − 所要日数で求めます。
| 作業 | 計算 | 余裕 |
|---|---|---|
| A | 3 − 0 − 3 | 0 |
| B | 7 − 0 − 2 | 5日 |
| C | 7 − 3 − 4 | 0 |
| D | 10 − 3 − 6 | 1日 |
| E | 10 − 7 − 3 | 0 |
| F | 12 − 10 − 2 | 0 |
余裕0の作業をつなぐと A→C→E→F。これがクリティカルパスで、最短完了日数は12日です。経路を全部足した結果(A→C→E→F=12日、A→D→F=11日、B→E→F=7日)とも一致します。
注意したいのは、この例ではすべての結合点で最早=最遅になっている点です。それでもDとBには余裕があり、クリティカルパスではありません。結合点の時刻だけで判断せず、作業ごとの余裕で確かめるのが確実です。
🛠️ この例題をツールで確かめる:PERT図・クリティカルパス計算ツール に、作業A〜Fの所要日数と先行作業(C・DはA、EはB,C、FはD,E)を入れると、同じ結果(A→C→E→F・12日)になることを確認できます。自分のプロジェクトの作業でもそのまま計算できます。
ガントチャートとの違い
スケジュール管理のもう一つの定番がガントチャートです。使いどころが違います。
| PERT図 | ガントチャート | |
|---|---|---|
| 得意 | 作業の前後関係とクリティカルパスの把握 | 各作業の期間・進捗を一目で |
| 見た目 | 矢印と結合点のネットワーク | 横棒(バー)を時間軸に並べる |
| 用途 | 計画・ボトルネック分析 | 進捗管理・状況共有 |
「依存関係を分析するならPERT、進み具合を見るならガントチャート」と覚えましょう。実務では両方を併用します。
基本情報技術者試験ではこう出る
「アローダイアグラムから最短完了日数を求める」「クリティカルパスを特定する」「ある作業に何日の余裕があるか」「最早・最遅結合点時刻を求める」がよく問われます。押さえるべきは、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)、複数の作業が合流する結合点は、遅い方の完了を待つという2点。余裕=最遅−最早、も頻出です。選択肢を作業ごとに検算するより、3ステップで結合点の時刻を表にしてしまうほうが、ミスが少なく速く解けます。プロジェクトマネジメント分野の日程管理の定番テーマとして押さえておきましょう。
よくある質問
Q. クリティカルパスの求め方は?
A. ①前向きに最早結合点時刻(合流は大きい方)、②後ろ向きに最遅結合点時刻(分岐は小さい方)、③作業ごとの余裕=終点の最遅−始点の最早−所要日数、の順に求め、余裕0の作業をつなぎます。手順は上の例題で解説しています。
Q. ダミー作業とは?
A. 実際には作業しないが、依存関係だけを表すために引く点線の矢印(所要日数0)です。「作業の前後関係はあるが、実作業は伴わない」ことを図で正しく表現するために使います。アローダイアグラム特有の表現で、試験でも出てきます。図1の③→④がその例です。
Q. 最早結合点時刻と最遅結合点時刻が同じなら、その前後の作業は必ずクリティカル?
A. そうとは限りません。例題ではすべての結合点で最早=最遅ですが、作業Dには1日、作業Bには5日の余裕があります。クリティカルかどうかは、作業ごとの余裕が0かどうかで判断します。
Q. クリティカルパスは1本だけ?
A. 複数あることもあります。最長の経路が同じ日数で並んだ場合、それらすべてがクリティカルパスです。その場合、どの経路の作業も遅れが許されません。
Q. 全体を短縮したいときは、どこを縮める?
A. クリティカルパス上の作業を短縮します。余裕のある作業をいくら縮めても全体は変わりません。ただしクリティカルパスを縮めると、別の経路が新たにクリティカルパスになることがあるので、再計算が必要です。
まとめ
PERT図は作業の依存関係を表し、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)で全体の日程が決まります。クリティカルパス上は遅れ厳禁、余裕のある作業は多少遅れてもOK。依存関係の分析はPERT、進捗管理はガントチャートと使い分けます。最短完了日数・クリティカルパス・余裕の3つを求められるようにしておきましょう。求め方は「前向きに最早 → 後ろ向きに最遅 → 作業ごとの余裕」の3ステップ、書くときは「同じ結合点どうしに作業を2本引かず、必要ならダミー作業」がコツです。
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